私と彼の関係
 そこには大きめのバッグを持ったののかちゃんに宮野君がいた。


 宮野君の洋服は昨日のものと同じだった。


 あれから、家に帰らなかったのかもしれない。


 ののかちゃんはいつものような笑顔ではなくて、目を真っ赤にさせていた。


 そんな彼女に優しく声をかけている。


 きっと彼女に何かがあって、一緒にいたんだろう。


 理屈では分かっていても、嫉妬してしまう心が嫌だった。


 私は近くの道を曲がると、できるだけこの場から離れようとした。


 しばらく行くと足を止めた。そして、乱れた呼吸を整える。


「ばかみたい」


 彼にとっての特別はののかちゃんであって、私は違うんだから。


 それでも彼のことを拒絶できなかった。


 嘘の関係でもまた学校が始まれば、一緒に登下校をしたりできるから。


 このままでいれば。


「武井さん?」


 その言葉に振り返ると、岸川君がいた。
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