私と彼の関係
 その言葉に振り返ると、岸川君がいた。


「どうして?」


「俺の家、この近くだから」


 彼は頭をかき、苦笑いを浮かべていた。彼は私をじっとみて顎に手を当て、考えるしぐさをすると言葉を続ける。


「今日、時間があるならデートしない?」


 その言い方にドキッとした。デートというと自分の好きな人とするというイメージがあったからだ。


 彼は私の気持ちを察したのか、両肩を一度あげると苦笑いを浮かべていた。


「言い方が悪いか。時間があるならつきあってよ」


 きっとこのまま一人でいても、ののかちゃんと宮野君のことに嫉妬して、悶々と考え続けるだけなのはわかっていた。


 だから、私は彼の誘いを受けることにした。


「どこに行きたい?」


「私はどこでもいいかな」


「どこか適当に入って、決めようか」


 明るく言ってくれた彼の言葉に頷く。
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