i want,

「ごめんねー」

綾は当然の様に笑顔で教室に入っていった。続いて香緒と由利も入る。
一番最後に、あたしも続いた。

チラッと視線を彼女達に送る。

俯いたままのみんな。校則通りに着ている制服に、結んだ黒髪。

入学式当初は膝上で居心地の悪かったあたしのスカートは、今では綾達と同じくらいに短くなっている。

彼女達の横を通る拍子に、高めの位置で結んだスカーフと長い黒髪が揺れた。

みど達の視線が、その揺れを追ったのを感じた。


…小学生の時とは違う避けられ方をしているのを、あたしは確実に気付いていた。

小学校と中学校では社会の形態が違う。小学校の時の権力者に近かったみどは、今では道をあける側。

そしてあたしは、あけられる側にいる。

確かな優越感はあった。小学生の時にされていた、所謂『仲間外れ』を忘れたわけでもなかった。

でもどこか、何か違う様に感じているのも事実だった。

< 139 / 435 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop