i want,

二年のクラス替えは、あたしには正直不利なものだった。

綾や由利は二組、美晴達は三組でみんな固まっているのに、あたしだけ校舎の離れた五組。
クラス替えの表を見た時、正直先生達を恨んだ。

「垣枝君、三組っけ?」
「あ…多分」

美晴の名前を見つけた時、近くにヒカルの名前も見つけた。
また美晴と同じクラスなんだと、小さく思った。

始業式の日、ヒカルは学校に来ていなかった。だからまだ、二年になってから会っていないことになる。というより、ヒカルが学校に来なくなってから一度も会っていない。

会いたいと思う気持ちは、もう胸にこびりついて、麻痺している様だった。

「あ、チャイム」

何だか新しくなった様なチャイムの音が校舎に響いた。
ホームルームが始まる合図だ。

「昼からは入学式かぁ。めんどいわぁ」
「…ごめん、先帰ってて」

んっと伸びをする綾にそう言って、あたしは踵を返す。
綾は不思議そうな声で、「あ、うん」と答える。

教室に向かう生徒の波とは逆方向にあたしは走った。

小さな可能性を、信じた。












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