i want,


……………

「だぁからぁ!あの文化祭の失敗はぜーったい卓也が悪いっちゃ!」
「なわけねぇだろぉ!?計算しつくした結果、残念なことに予算が足りんかったんちゃ!」
「計算できてねーわ!」

ギャハハっと笑い声が店内に響く。あたしも笑いながら、懐かしい思い出に耳を傾けていた。

お酒も手伝って、みんなの思い出話は止まることを知らない。
元々そんなにお酒に弱くないあたしは酔うこともなく、みんなの話で懐かしい気分に浸る。

今日は中学の仲間との集まりだった。辛い思い出より、楽しい思い出の方が多い。

キラキラした毎日。ほんの小さなことが世界のすべてだったのは、頭の片隅にある蓋をした記憶のせい。

渡り廊下の向こう。
彼の顔が見えないのは、夕焼けのせいなのか。それとも。
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