snow flake〜罪な恋に落ちて〜

なぜ分からないけど、誰にも気付かれないように息を吐いて私は踵を返す。


と、店内に続く通路に見覚えのある背中を見つけた。

今の会話は聞こえてしまったかもしれない。
けど、そんな事は良かった。


だって、今夜は―――…







「…椿、戻るの早かったね?」

愛しい背中に声をかける。

「姫との時間、大切にしたいから」

振り返り、そう言って微笑んでくれる。

椿の長い指が私の髪に触れる。

吸い寄せられるように彼の手に手を重ねる。


暖かい手。

じんわりと体の奥があったかくなった。



吐く息は白い程なのに、彼に触れてるとこが熱くて、2人溶けてなくなればいいのに。

本気でそう思うくらい、私の気持ちは抑えのきかないところまできていた。




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