kiss
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私は帰宅部。

中学ではテニス部の幽霊部員をやっていたけれど。


「先輩」


「ん?」


「もしも、の話をしてもいいですか?」


「いいよ?」


正直、仮定の話はあまり好きじゃない。

仮定は仮定で現実になる確率は低そうだし。

でも柳くんの話は聞きたいなと思ってしまう。

仮定でも、現実でも、なんでもいい。


「もし、俺が」


「うん」


「1年のクセにスタメンに選ばれたら付き合ってください、俺と」


「……え?」


あくまで仮定の話だけど、そう思えなかったのは柳くんの声のせいだ。

顔には出ていなかったと思うけど、もちろん私はびっくりして。

足を止めた。

それに合わせて、柳くんも足を止めた。


「……もしもだけど、本気の話ですから」


目と目が合って。

とてもドキドキした。


「…柳くん」


「俺、頑張りますから」


うちの高校のバスケ部って強いんだっけ?

対して興味がなかったからよくわからないけど、そんなに強くはなかった気がする。

剣道と弓道と柔道が強いとかって誰かが言っていた気がする。



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