kiss
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柳くんは強いかな。

自分から言うくらいだからそれなりに自信があるのかもしれない。


「……スタメン、自信があるの?」


「わかんないです」


「そう」


「……でも」


柳くんを見上げると得意気に笑った。


「これでもN中でバスケ部キャプテンやってたんで、そう簡単に他のやつらに負けません」


……N中、って確か全国的に有名だったような。


「スタメン、決まるまで、先輩断ちしようかな」


ふふ、と笑いを溢す柳くんにはどことなく余裕を感じる。


「そうしたら先輩、寂しいと思ってくれますか?」


余裕そうに笑っていたクセに今度は不安そうに私の顔を覗きこむ。

寂しい、か。

どうだろう。

柳くんとはずっと一緒にいたわけではなくて。

今日、しかもほんの少し前に初めて会っただけの男の子。


「よく、わからないよ」


明日から一生会わなかったとしてもそれはそれと割りきれるかもしれない。

でも、もしかしたら今日の夜にはどうしようもないくらい会いたくなっているかもしれない。



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