【完】冷徹仮面王子と姫。
「王子は王子なりに抑えてたと思う。きっと真剣に、一香のことを好きだったからこそ」


「抑えて…た?」


「王子だって男だし。キスぐらいしたかったと思うけど?」



「な……っ!?」



 耳を疑ったのも、当然のこと。



「なななないっ!」


「さあね?王子のポーカーフェイスじゃ、何を考えてるのか分からないもの」



 くすくすと笑うあーちゃんに、あたしは思いっきり否定の言葉をぶつけたのだけど。


 考えていることが分からないというのは事実だから、言い返す言葉が見つからない。



「だから、一香が大丈夫じゃなさそうだから、待つつもりだったんじゃない、って言ってるの。
あたしが王子だったら、大丈夫か分からないもの。……そんな目で見ないでよ、例え話!」



 あまりにもあーちゃんが、危険な発言をするから。


 …でも、感謝してる。



 少し余分なくらい、元気もらったよ。


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