【完】冷徹仮面王子と姫。
 あの言葉が、あの時本当だったとしても。


 今の氷室君は、変わってしまっているかもしれない。


 もう既に別の道を進もうとしている。


 それがお互いのために、なるとしたら。



 ……あたしはそれでも氷室君のことを好きなのに。


 そんな理由があったところで、あたしは諦めることなど出来るのだろうか。


 でも、それが彼には迷惑かもしれない。


 ここで無理やり現状を捻じ曲げてしまったら、罰が当たる。


 互いの気持ちが確かでない以上、どうすることも出来ないあたしがここに居る。



 自分の気持ちは?―――そう、問いかけてみるけれど。




 帰宅、そして何から何までいつも通りに過ぎる。


 眠っている間に時計の針は天辺を越え、そして次の日を迎える。


 悩みはそれでも消えない。



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