雪枝エッセイ
カエルの置物


3年後の30歳までに、なにか芸術的な習い事をと、大手の声優芸能事務所のオーディションに受かった雪枝。
入学金を払った直後、出会ったばかりのボーイフレンドに告白された。
僕との将来を真剣に考えて優先して欲しいと言われ、入学金のローンを組んだばかりで声優学校を自主退学した。
ローンを抱えて、持病もあり、出会ったばかりの彼氏との関係も、どうなるか分からない。
来月からローンの返済開始、という時に、雪枝が買った、かえるの置物。

(お金が返って来ますように)
との願いをかけて100円均一で購入した。

9ヶ月後、借金完済と同時に雪枝はプロポーズされ、寿退社をする。
貯金が無いから四年後と諦めていた結婚式も、相手の親が貸してくれることになり、来年することに決まった。
カエル君、その間、デスクの上でわたしを見守ってくれててありがとう。
君の働きは、実に偉大だった。

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