アナタハシニマシタ2
松本は沙良の席の前で仁王立ちをしていた。物凄い形相で見下ろされている。クラスメートは全員沙良の方をみている。




「あの……何か?」



沙良は作り笑顔で話しかける。ここで不快な顔をすれば相手がより攻撃的になる。これはコンビニで学んだ知恵だ。作り笑顔でもいいから笑顔であれば最悪の事は避けられる。




「川崎さん。岸野さんによろしく伝えといてね。『次は絶対来るように』って」



それだけを言うと彼女は踵を返し自分の席に戻った。何も起きずにホッと胸をなで下ろすが直後一つの疑問が産まれた。




――何で松本さんは、私が岸野さんを探しているのを知っているんだろう?



膨らんだ疑問はしぼむことなく膨らんでいくばかり。気になった沙良は松本に聞こうとしたが、




「ほら!授業するぞ!今回悪かったやつは今日から挽回しろ!」



教師の授業開始の声に機会を逸してしまった。



仕方なく沙良は授業に取り組むことにした。




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