喧嘩機甲クォーラル
起動、熱き魂の機体
「オラァッ!!」


 巨躯から繰り出されるたった一発の剛拳に柄の悪い男は地に伏す。だらし無くよだれを垂らしながら、白目をむき、その拳の威力を物語っていた。


「引ったくりなんてダセー真似してんじゃねえ。ったくよぉ……」


 真っ赤な髪をした巨躯の男、ガイは白目をむいた男から革鞄を取る

 持ち主である気のよさそうな女性の老人は向こうから杖を突きながらゆっくりと来、彼からそれを受け取る。

 老人は感謝の言葉を述べ、そこを去って行った。


「今日もいいことしましたね、アニキ。本当に悪なんですかソレ」

「当たり前のことは悪と言わねえのさ。悪ってのは、もっとこう……バイクでぶっちぎったり……、」

「はいはい」


 妙なエアハンドリング捌きを見せるガイ。傍らにいる雀斑(そばかす)の目立つ茶髪の少年は呆れた表情で、だが尊敬に満ちた目で彼を見る。


「行くぞ!」

「またですか……、今度は何処へ?」

「俺はストリートファイターだ! 喧嘩しに行くに決まってんだろうがぁぁぁぁ!! 今日も最高にハイだアッッッ!!」


 彼は駆け出した。
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