【完】最期の嘘
マンションの前につき、礼治の車は駐車場で停止する。



「あの、初対面の私をわざわざありがとうございました。」



「んー?友達の友達は、友達。」



この間の篥と全く同じ言葉を礼治が言ったものかだから、汐は思わず微笑んだ。



汐が車から降りると、何故か礼治も車から降りる。



「これからシュガビの打ち上げ。ここから近いし、お酒飲むから車置かせて。」



礼治の言葉に、汐は納得し頷く。



「じゃあまた。ばいばいしー。」



汐のさらさらの黒髪をふわふわと撫でた礼治は、ひょろ長い脚で軽やかに立ち去って行った。
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