【完】最期の嘘
優太は汐の中心に、体重をゆっくりと落とす。



「あ、あ、んっ…。」



一瞬の圧迫感を我慢するように、よりいっそう下唇を噛む汐に、それが少しでも和らぐようにキスを落とす優太。



優太は汐を世界で一番大切な宝物のように抱く。



そんな優太の優しさに包まれて、甘く、甘く溶ける夜に幸せを感じる汐。



嗚呼…私は、優太さんのことを好きになってしまっていたんだ。



霞む視界、軋むベッド。



汐は意識が朦朧とする中で、ただ優太の空色のメッシュの入った前髪の青を視界いっぱいに映し出していた。
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