【完】最期の嘘
優太の作ったホットケーキは甘くて美味しくて、幸せの味がした。



あの見た目で料理をするところを想像し、汐はなかなか緩んだ頬が治らない。



私と優太さんって…一体どんな関係になったのだろう。



ふとそんな疑問を心に浮かべ、汐はフォークを動かす手を止める。



優太は、汐に好き、とも付き合ってくれ、とも言っていない。



もしかしたら、同情で汐を抱いたのかもしれない。



優太を好きだと気づいてしまった汐にとって、ツアーから帰って来るまでの一ヶ月は、果てしなく長く待ち遠しい時間になる。



そんな予感を胸に、汐は残ったホットケーキを口の中へ詰め込んだ。
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