ずっと大好き…この恋は秘密 …



浅井さんのジャージが部屋にあるだけで

いつもの部屋と違って見えた。



朝起きた時


部屋を出る直前


学校から帰った時


寝る前…



いつもジャージを眺めてた。





浅井さんのジャージは


ちょっと大きくて

あったかくて

少しだけタバコの匂いがして…



浅井さんの存在を感じた。



あのデートは夢じゃなかったんだって

何度も実感して…



そのたびに感動した。





でも

月曜日にはなくなっちゃうんだ…







『風邪治った?』



浅井の低く響く声にみのりの胸がしめつけられる。


「はい」




…嘘だし。

泣いてた事に気づかれたくなかったから…



『よかった。

そういえばオレ今日黄色い車見たよ。


道路の清掃車(笑)』



「…それはダメです」



『やっぱりな(笑)』




みのりの言葉に浅井が笑う。


最後の電話だと思うと…

浅井のすべての言葉が特別に聞こえる。






…ケータイから聞こえる笑い声


大好きだった…



浅井さんがどんな顔して笑ってるか想像してあたしも笑うんだ…





…でも



今日は笑えない…



最後の電話でも浅井さんは優しくて…




そんな浅井さんが大好きで…




だけど


ちょっとだけ嫌だった。






離れる決意が揺れてしまうから…







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