ずっと大好き…この恋は秘密 …

最後の『サヨナラ』



月曜までの4日間、

みのりはそわそわしてろくに何も手につかなかった。


そんなみのりの様子を見て
里奈が声をかける。


授業の間の10分休みは
ほとんどの生徒が教室にいて騒がしい。


「なんかあった?

ちょっとおかしくない?」


里奈の言葉に
みのりが少しだけ笑顔を作る。


「…月曜日、浅井さんと会う約束したから…」


「なんだ、デートだからウキウキしてただけ(笑)?

…仲良くやってんだね。
今週の月曜日も会ってたんでしょ?

美咲の話ごまかしてやったんだから後でジュースおごりだからねっ」


少し落ち込み気味のみのりを気遣ってか

里奈が明るく言う。


「…うん。

月曜日会ったらね…



サヨナラ…してくるよ」


みのりの言葉に里奈の表情が真顔に変わる。


「心配かけちゃったよね(笑)

高校生で不倫てありえないしね(笑)


ジュース買ってくるよ。
いちご?カフェオレ?」


「え…あ、いちごミルク」



「了解」と笑顔で教室を出たみのりの後ろ姿を

里奈が見つめていた。






止める事じゃないのは分かっていた。


『サヨナラ』は正しい事だから…



でも…

『サヨナラ』はみのりの本心じゃない事も分かっていた。



本心じゃないのに…

自分から別れを告げようとしているみのりの気持ちを考えると

胸が苦しくなって…





みのりの後ろ姿が悲しく見えて

里奈は目を逸らした。



「頑張れ…」



里奈が呟くようにポツリと言った。






「頑張れ…」





小さな声が

みのりの机に落ちていく。




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