ずっと大好き…この恋は秘密 …



「…あいつの事?」


圭司の言う『あいつ』が
浅井を差す事に気づいたみのりは窓の外を見ながら答えた。


「違うよ」


ここで頷くと
なんとなく話がややこしくなりそうで嫌だったからわざと嘘をついた。



「…嘘だってばればれだけど(笑)

…なんでそんなにあいつが好きなの?」


「別に関係ないでしょっ

圭司くんこないだからやけにこだわるよね…

彼女いないの?」


少し意地悪げに聞いたみのりに圭司は少し笑って答える。


「今はね。

まぁ作ろうとすれば作れるけどね。


オレ結構モテるしね(笑)」


冗談だか本気なんだかよく分からない言葉を言いながら
圭司は横目でみのりを見た。


「…何?」


なんだか気まずい雰囲気にみのりは怪訝そうな顔で圭司を見る。



「…佐倉が立候補すれば彼女にしてやってもいいよ」





…彼女って




みのりが圭司から目をそらしながら笑う。


「…全然笑えないんだけど(笑)

モテるんなら誰か他あたりなよ」


軽く流したみのりに圭司も少し笑みを浮かべて続ける。


「そうだよな。

佐倉は軽く付き合うようなタイプじゃないもんな…

彼氏もいるし?」


圭司の言葉に

みのりは笑うだけで何も答えなかった。


「おまえなんでいっつも曖昧にしか…」


「圭司くん、ここでいい」


みのりの言葉に圭司が車を止めると

みのりは足早に車を降りる。


「ありがとね、助かっちゃった」


「…あぁ」


納得いってない様子の圭司に手を降って
みのりがドアを閉めた。





…聞かれたくないのに


なんで遠慮なしにあんなに聞けるんだろ…


軽そうだし

…苦手なタイプかも。





そんな事を思いながら笑顔を作って圭司の車を見送った。


10月にしては蒸し暑い風が気持ち悪かった。



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