ずっと大好き…この恋は秘密 …


あ…南商。


12番車の前で待つ教習生の制服を見て浅井がなんとなく目を逸らす。


「手帳だして」


「はぁい」


甘えたしゃべり方に少し頭にきながら浅井が車に乗り込んだ。


『中島』か…


すげぇ化粧だな…

校則違反じゃねぇのかな…


「じゃあ今日はクランクな」


チラッと中島を見た後
すぐに外に目を向けて言う。


中島の短すぎるスカートに
目のやり場に困っていた。






…みのりもこんなんだっけ?


…夜電話して注意しなきゃな。

こんな短くちゃどんな男でも絶対に見るし…


でも女の子教習した事言ったら膨れるかな(笑)





みのりの怒った顔が浮かび
浅井の顔が緩む。


「ねぇ、先生結構南商の生徒教えたりしてる?」




…やっぱり今のやつって敬語使えないんだな。




浅井が呆れて一つため息をつく。


「あぁ、たまに。

…田崎…だっけ?


前教えた」


敢えてみのりの事は言わずにいると

中島が思い出したように話し出した。


「あっ、ねぇ

佐倉さんっていう子知らない?


確か…夏休みここ来てたと思うんだけど」


突然出たみのりの名前に内心驚きながら浅井が頷く。


「…あぁ。

何回か教えたかな…」


「その時彼氏の話とかした?!」


思わず動揺したくなるような事ばかりを聞いてくる中島を
浅井が少し警戒し始める。


「いや…

なんで?」


「あたし同じクラスなんだけどね、今日ね、急に泣き出してさ。

…多分男じゃないかなぁって思って」





『急に泣き出してさ』




中島の言葉が頭に響き渡る。







みのり…?






頭の中が

真っ白だった―――…







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