ずっと大好き…この恋は秘密 …


「次、右ね」


「はい」



初めての公道を
思ったより順調に走る車の中で

口を開いたのは先生だった。



「制服じゃなきゃいけないの?」


運転指示以外の話題に
みのりが少し表情を明るくして答える。



「はい。

なんか先生が見回りにくるって言うから仕方なく…

制服可愛くないし最悪ですよ」


みのりの言葉に先生がふっと笑う。



「つぅか、就職組?」


「はい。

商業高校なんで。


今は求人少ないから半分くらいは進学ですけど…」



先生は

「へぇ〜」と相づちを打って外に目を移した。




みのりが信号待ちを利用して

その姿を盗み見する。




…やっぱり20代だよね。


くせっ毛なのかパーマなのか

どちらともとれるような緩いウェーブのかかった茶色の髪がワイシャツの襟にかかっている。



…背は

確かあたしとそんな変わらなかったような…



みのりがさっきトランクを開けた時の事を思い浮かべる。


そんなに変わらない目線で話したって事は165〜170cmくらいか…






思わず『非常食』発言まで思い出してしまって…

笑い出しそうになったのを必死でこらえた。





すると

そんなみのりの横で
先生が急に笑い出して…




そしてみのりに笑顔を向けた。



「おまえ…やっぱ非常食はないだろ(笑)」


その笑顔が柔らかくて…

でもどこかやんちゃな子供っぽさが残っていて…




笑いながら言った先生の言葉に

みのりも笑いが止まらなくなった。



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