ずっと大好き…この恋は秘密 …

50分の教習はあっという間だった。



先生の指示通り車を走らせると

終了時間5分前に教習所に着き、

時間を調整する為に
コースを1周したところでベルが鳴った。



「なんかあっという間でした」


「あぁ、外だと景色も変わるしな」



みのりが

先生の言葉に納得しつつ車を停車させる。


サイドブレーキを引いたところで
ようやく肩の力が抜けたのを感じた。


「え〜と、ハンコどこやったかな」


先生が胸ポケットやズボンのポケットに手を入れてハンコを探し始めた。



教習が終わると最後に

教習手帳に枠どりされた
担当した科目の欄に
担当した先生の名前と日付入ったハンコを押す。


先生はズボンのポケットからハンコを見つけ出すと

みのりの手帳を開いた。



…あ、やだな…


写真見られちゃったかな…



みのりは手帳表紙の
自分の証明写真を先生に見られるのが嫌だった。


教習所に来た初日に撮られた写真は

にこりとも笑ってない真顔のみのりが写っている。


自分の中で最悪な写真…



心配するみのりの気持ちとは裏腹に

先生はハンコを押すと
表紙を見ることなく
みのりに手帳を差し出した。



「お疲れさん」



そして

一言だけ残し車のドアを閉めた。



渡された手帳の写真を見ながら
みのりも車から降りる。



…写真写りなんか

なんで気にしたんだろ…



ただの先生なのに…


今まで先生に見られるの気にした事なんかなかったのに…



若い先生だったからかな…



みのりがそんな事を思って首を傾げながら
教習所の建物に戻る。


クーラーの効いた室内が
みのりを迎え入れた。




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