ずっと大好き…この恋は秘密 …
一瞬…
沙紀との今の状況をみのりに伝えようかとも思った。
もう一緒に暮らしていないことや
結婚も今となっては紙の上だけになっていること…
…でも結婚してるのは事実だし
期待させるような事したって
傷つけるだけだ…
佐倉を…
かわいいと思ってたのは本当だけど…
オレと佐倉の関係には…
未来はない…
佐倉だって…
そのうち心変わりするだろうし…
『本気で好きなんです』
気持ちは…
本気でうれしかったけどな…
浅井がみのりの言葉を思い出し
顔を緩める。
『浅井さん…』
電話の向こうのみのりが
思い詰めたような声で言った。
「ん?」
『…名前…
なんていうんですか?』
真剣な声とは似合わない質問に浅井は少し拍子抜けして答えた。
「遼太だけど…?」
『太って太いっていう字?』
「そうだけど…何?」
名前を聞いて喜ぶみのりに
浅井が不思議そうに尋ねた。
『だってずっと知りたかったんです。
ほら、教習手帳のスタンプは『浅井(遼)』だけだから…
遼一かな?ってずっと思ってたけど…
聞いたら遼太の方が浅井さんらしいかも…
意外と子供っぽかったし(笑)』
電話の向こうで喜んでいるみのりに…
浅井が顔を歪める。
…佐倉、ごめんな。
やっぱりあの告白で終わらせればよかった…
高校生だし…
軽い気持ちだって思って…
オレも軽い気持ちで電話したんだ…
傷つけてごめん…
オレから…
終わりにするべきだよな…
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