ずっと大好き…この恋は秘密 …



『かけにくい』


みのりの口から出た言葉に…

浅井が首を捻る。






…仕事してるから?





そんな事を考えてから
はっとした。



この広いアパートに1年も1人で暮らしていると

自分が結婚してるなんて事も忘れてしまう。



だから


あんなに力一杯、一生懸命に

『本気』と言い切ったみのりは


絶対に電話をかけてくると思っていた。




毎日でも『声が聞きたい』なんてかけてくると思っていた。




…そっか


オレが結婚してるから遠慮してたんだな…





浅井の頭に電話に出た時のみのりの声が蘇る。


元気な…

うれしそうな声…



いかにも、

待っていたと言わんばかりの声を思い出し

少し胸が苦しくなった。




『浅井さん?


…メールじゃダメ?』


不安そうなみのりの声に

浅井は微笑み、優しく返事をした。



「…いいよ」


『本当?!

じゃああたしの長いから…

浅井さんのアドレス教えてもらえますか?!』



みのりの笑顔が目に浮かぶようで

浅井も笑みをこぼした。






…佐倉は

ずっと電話を待ってたのかな。





でも結婚してるのに…



…佐倉は



オレに何を望んでいるんだろう…



結婚してるって知ったうえで


オレに何を望んでる…?







『じゃあ後でメールしますねっ!』


うれしそうな声で言うみのりに

浅井が困ったような笑みを浮かべた。





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