王国ファンタジア【宝玉の民】
一階に降り、マーリィに声を掛ける。
「おはよう、マーリィさん。遅くなってすみません」
マーリィが近寄って来た。
ドルメックの肩までの茶色い髪に手を伸ばしてクシャクシャっと撫でる。
「おはよう、ドルメック!アンタはせっかくの男前なんだから!身だしなみ位気にしなさいな。ひどい寝癖だ!」
恰幅の良い身体を揺らして豪快に笑った。
そして、部屋の奥から配達物の入った箱を二つ引っ張り出してきた。
「今日のアンタの担当分だよ!よろしくね」
ドルメックは髪を撫で付けながら中身を確認して頷く。
「りょーかい」
結局、寝癖は直らなかった。
腰に引っ掛けてたタオルを頭に巻いて誤魔化す。
その様子を見てたマーリィは可笑しくて吹き出していた。
「良く似合ってるよ、その頭!あ、あとこれ持ってきな」
そう言ってテーブルの上のあった包みを渡してきた。
中身はどうやらサンドイッチのようだ。
寝坊したドルメックに対する、心優しい配慮である。
「ありがたい♪行ってきます!」
包みを受け取り、嬉しそうに仕事へと向かった。