ミズキカロリー
他愛ない魔法
「おはよう、ミズキぃ」
近づいてきたゆきみを僕は図書室まで連れて行く。
「ちょっと何のつもり?って・・・!」
「今日はゼブラ柄かぁ」
「一体なんなの?あたしは・・・まだミズキのこと好きだけど。でも、そんな付き合ってのいないのにどうしてそんなことするの?」
「僕は好きじゃないけど、ゆきみが願うことならしてあげたいだけ」
「それがスカートめくりぃ?おかしいよ
「なんで?いいじゃん。ゆきみも喜んでるみたいだし」
「喜んでないよ!それ勘違い」
「あっ!そうだ。今日サボらねぇ?なんだかんだ言って教室はいれないし」
「でも、そんな、あたし成績もよくないッ・・・
「静かにしろ」
僕の人差し指におさえられたゆきみの唇は脈をうっていた。
きっと僕に対してまた恋愛感情を抱いているのだろう。。
そんな事を考えつつ、図書室に近づいてきたヒールの音は女教師と考えられる。ゆきみを本棚の下に隠した後、僕は堂々と物置き場として探し物をしているふりをした。
「あら、抜田君じゃない。どうかした?物置き場に来るなんて」
「あの、森岡先生からたのまれて・・・探し物しにきたんです。体育でつかうリレーのラッピングテープ」
「そうだったの。わたしもよ。今日は家庭科で調理自習の例になる本をさがそうと思ってね」
僕はいっこくもはやくこの保健室の女を追い出そうと思い、さっきまでの脳内を掘り起こしてちょうどいい嘘をついた。
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