ミズキカロリー
僕が勇気をだして振り向く前に、ひとつの声が廊下に響いた。
「ミズキぃ・・・!」
僕の名前を呼ぶ声。
「ミズキぃぃ」
どこかクセのある言葉の最後をのばす舌ったらずな感じ。
そう・・・この声はゆきみだ。
「なんだよ!」
むさくるしい今の気持ちを訴える。
「あの・・・さっきはごめんね?」
「別にあやまらなくてもいい、行動でしめせ」
「わかってる、でも絶対みんな誤解してるしぃ・・・なんせ、ミズキが一番傷ついたでしょ?」
いつもの軽い口調じゃないゆきみがきっと一番後悔してて、僕は傷ついただけで・・・
不愉快な関係になっていって・・・
結局会話の筋も通らなくなっていって・・・
「あたしの今日の行動悪化していくばっかみたいだね。でも、真剣に謝りたいよ・・・それにぃ」
どうしようもないくらいゆきみの目は虚ろで、あたり障りのないそのひとつひとつの言葉が僕を苦しめる。
「昼休み・・・図書室にきて」
図書室?
あの人気のない場所になんのようがあるのだろう。
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