365回の軌跡
「こんにちは!倉持さん、今日こそは私の料理食べてもらいますよ!」
私は倉持さんのベッド脇で笑顔で話し掛ける。
「またお前か…何度来ても同じだ。帰れ」
倉持さんは私をだるそうに手で払う。
「私、そう言われると帰りたくなくなっちゃう性格でして。あ、何か食べたいのあります?」
私は笑顔を崩さずに答える。
「ちっ!」
倉持さんは舌打ちする。これがウメばあさんの言ってた我慢てことだろうな…と思う。
「私、新しい料理覚えたんです!実験台になってくださいね!」
「お、おい!」
倉持さんは慌てて私を呼び止めるが無視して台所へ向かった。秋の風が窓から匂った。
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