365回の軌跡

その後

年が明けてすぐ、ウメばあさんが熱を出し、病院に運ばれた。私は二週間後にお見舞いに行ったが何も変わりなく、元気だった。もう数ヶ月したら咲く庭の桜を今年も見れると楽しみにしていた。
優雨とはこの冬の間、ずっと一緒にいた。春にはアメリカへ発つ予定の優雨だが不思議と寂しさは無かった。優雨も頑張るんだから私も負けられない。私達は何度もゆびきりをした。
春間近、ウメばあさんが病院でそのまま息を引き取った。肺炎だった。
その一週間後、優雨はアメリカへ旅立った。私は送りには行かなかった。これが別れじゃないから。私はここで優雨を待つ。自分の出来ることを精一杯して、優雨に自慢できる人になっていられる様に。
< 84 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop