ロ包 ロ孝
「俺の前ではあんまりやるなよな、アレ」

 里美に背中を向けたまま、俺はぶっきらぼうに言い捨てる。

「ああぁぁ、なぁにぃ? 淳ったら、やっぱり妬いてたのぉ?」

 不機嫌を装って気を引こうと思っていたのに、事もなげにコロコロと笑う里美。いや、機嫌が悪いのは演技では無い。2人のあのコミュニケーションに、俺は嫉妬しているのだ。

「ま……まぁ、あれが里美と栗原君のやり方なら仕方ないけど、俺の目に触れないような所でやってくれよな」

 ここは少し、物分かりのいい所でも見せておかなくては。

「淳ったら、意外と子供っぽいのねっ。あたしがこんなにメロメロなのが解らない?」

 後ろから俺に抱き付き、肩口やうなじにキスをしてくる里美。

 そ、そこは弱いんだって! それに背中に柔らかいのが思いっ切り当たってるしっ。

そして里美の手が前をまさぐった。

「淳。ほら、続きがしたいって言ってるよ?」

 おおぉうっ! そこは最も弱い所だってのに!

久々のお泊まりは2人を心身共に癒してくれそうだ。俺は寝返って向かい合うと、長いキスをして言った。

「里美。可愛いよ?」

 普段から甘ったるい声を、更にとろける位甘くして里美が答える。

「淳。貴方も素敵だわ」

 そして2人の熱い夜は更けていく。


∴◇∴◇∴◇∴


 それからまた更にひと月が経ち、俺が予想していたよりも早い期間で栗原は免許皆伝に至った。

「おめでとうございます栗原さん。多分長い間この最短記録は破られないと思います」

 根岸から契約書が手渡され、晴れて彼は正式にエージェントとして登用された。


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