ロ包 ロ孝
栗原が頑張ってくれている間、俺が裏蠢声操躯法宗家として為さねばならない仕事は、兵法を確立する事だった。
あの巻物にはコンクリートで出来た建物や鉄の扉等の想定は勿論描かれていない。
砂地の起伏を生かした対騎馬用の兵法や森の木立を使った対歩兵用の兵法等、今の時代に則していない物ばかりが羅列されている。
現代社会に於いて考え得る様々な戦況とその場毎に対応した戦術を編み出す事は、チームの安全確保と作戦完遂の為に欠くべからざる重要事項であった。
蠢声操躯法は声が武器なので当然息継ぎが必要となる。従ってその術が途切れた際のフォロープレイを確実に行なえるか否かで、俺達に降り掛かる危険の度合いが大きく変わって来る。
俺は特に安全を優先して兵法を組み立てる事に専念した。
∴◇∴◇∴◇∴
「坂本課長! 頑張ったでしょ? 俺!」
免許皆伝を達成し音力との契約も済ませた栗原が、エージェントとして正式に俺達のチームへ配属された。
「良くやったな、栗原君。早速なんだが、これからもう少し修練を加えて蠢声操躯法の裏法を修得して貰う」
「あのバーで見た術っすネ? 頑張ります!」
栗原は俺達の期待に応え、最短で免許皆伝を成し遂げてくれた。
そして今音力では祖父が術の手直しをしているので、栗原の【臨】(リン)〜【前】(ゼン)はほぼ完璧な物となっている。
「でも栗原君。『課長』はやめないか?」
「そうっすね。すいません。『坂本さん』でいいですか?」
「その方がいいな。それと、これから修得する裏法は音力に絶対漏らさないようにして貰いたい。これは我々だけの秘術だから、くれぐれもな?」
あの巻物にはコンクリートで出来た建物や鉄の扉等の想定は勿論描かれていない。
砂地の起伏を生かした対騎馬用の兵法や森の木立を使った対歩兵用の兵法等、今の時代に則していない物ばかりが羅列されている。
現代社会に於いて考え得る様々な戦況とその場毎に対応した戦術を編み出す事は、チームの安全確保と作戦完遂の為に欠くべからざる重要事項であった。
蠢声操躯法は声が武器なので当然息継ぎが必要となる。従ってその術が途切れた際のフォロープレイを確実に行なえるか否かで、俺達に降り掛かる危険の度合いが大きく変わって来る。
俺は特に安全を優先して兵法を組み立てる事に専念した。
∴◇∴◇∴◇∴
「坂本課長! 頑張ったでしょ? 俺!」
免許皆伝を達成し音力との契約も済ませた栗原が、エージェントとして正式に俺達のチームへ配属された。
「良くやったな、栗原君。早速なんだが、これからもう少し修練を加えて蠢声操躯法の裏法を修得して貰う」
「あのバーで見た術っすネ? 頑張ります!」
栗原は俺達の期待に応え、最短で免許皆伝を成し遂げてくれた。
そして今音力では祖父が術の手直しをしているので、栗原の【臨】(リン)〜【前】(ゼン)はほぼ完璧な物となっている。
「でも栗原君。『課長』はやめないか?」
「そうっすね。すいません。『坂本さん』でいいですか?」
「その方がいいな。それと、これから修得する裏法は音力に絶対漏らさないようにして貰いたい。これは我々だけの秘術だから、くれぐれもな?」