ロ包 ロ孝
「なぁんか淳、わざとらしいのよね。何か隠してるでしょ」
やはりエスパーだ。すっかり心を読まれている!
「いや、エンジェルスのメンバーが気に掛かっててな」
「そうか。そうよね、みんな上手く行くといいけど……」
今度こそ大丈夫だろう。
「それはそうと里美、俺に用事でも有ったのか?」
「ああっ! そうだった。人事部の小宮山部長に聞いたんだけど、課長補佐は大谷専務の息子さんの線が濃厚みたいね」
「なんだって?」
大谷専務の息子と言えばまだ新入社員に毛が生えた程度の若造だ。それが主任を飛び越して課長補佐なんて、こなせる筈もない。
「ま、まあ……切れ者で名を馳せた専務の息子さんだ。上手くやってくれるだろう」
「そんな事言ってぇ、ホントは『使えない若造を寄越しやがって』って思ってるんじゃないのぉ?」
エスパー決定!
∴◇∴◇∴◇∴
エンジェルスの面々が修練を始めてから数週間が経ち、俺は海袋を訪れていた。
西口のホテル街を抜けた所に有る『喫茶ジャルダン(庭)』で、渡辺達の経過報告を聞いている。ここのロイヤルミルクティーとフレンチトーストは何しろ絶品なのだ。
「なんで『銀杏』じゃないんですか?」
渡辺がまず口を開く。『銀杏』では舘野さんに筒抜けだからだ。
「フレンチトーストに付いてくるベーコンと、サラダに添えられたパルマ産のプロシュートが絶品だからだ。
ロイヤルミルクティーとの相性も、これまた格別だしな」
しかしどのようにそれを伝えるべきか、俺は思い倦(アグ)ねていた。
「確かに旨いです。うん、値段が張るだけは有りますね。……って、そういう事じゃない気がするんですけど」
渡辺には俺が言い澱んでいる事がお見通しのようだ。
やはりエスパーだ。すっかり心を読まれている!
「いや、エンジェルスのメンバーが気に掛かっててな」
「そうか。そうよね、みんな上手く行くといいけど……」
今度こそ大丈夫だろう。
「それはそうと里美、俺に用事でも有ったのか?」
「ああっ! そうだった。人事部の小宮山部長に聞いたんだけど、課長補佐は大谷専務の息子さんの線が濃厚みたいね」
「なんだって?」
大谷専務の息子と言えばまだ新入社員に毛が生えた程度の若造だ。それが主任を飛び越して課長補佐なんて、こなせる筈もない。
「ま、まあ……切れ者で名を馳せた専務の息子さんだ。上手くやってくれるだろう」
「そんな事言ってぇ、ホントは『使えない若造を寄越しやがって』って思ってるんじゃないのぉ?」
エスパー決定!
∴◇∴◇∴◇∴
エンジェルスの面々が修練を始めてから数週間が経ち、俺は海袋を訪れていた。
西口のホテル街を抜けた所に有る『喫茶ジャルダン(庭)』で、渡辺達の経過報告を聞いている。ここのロイヤルミルクティーとフレンチトーストは何しろ絶品なのだ。
「なんで『銀杏』じゃないんですか?」
渡辺がまず口を開く。『銀杏』では舘野さんに筒抜けだからだ。
「フレンチトーストに付いてくるベーコンと、サラダに添えられたパルマ産のプロシュートが絶品だからだ。
ロイヤルミルクティーとの相性も、これまた格別だしな」
しかしどのようにそれを伝えるべきか、俺は思い倦(アグ)ねていた。
「確かに旨いです。うん、値段が張るだけは有りますね。……って、そういう事じゃない気がするんですけど」
渡辺には俺が言い澱んでいる事がお見通しのようだ。