ロ包 ロ孝
「そうか、そうだな。あれから1年か。里美も益々女っぷりが上がったよな」

「もうっ! 忘れてた癖に、お上手ばっかり言って!」

 口でそうは言うものの、さっき迄とは打って変わった優しい面持ちになっている里美。もうひと押しして、記念日なんか忘れさせよう。

「里美ぃ」

「なぁに? 淳」

「俺、やりたくなったんだけど」

 ほっぺたを膨らませて里美が返す。

「駄目よ! そんなお下品言っちゃ! それにお料理が冷めちゃうじゃない!」

「食事はな……お前を食べてからだぁ!」

 俺はそう言うと里美に襲い掛かった。

「あん、ヤぁメぇテっ。淳! お気に入りのブラウスが破けちゃうっ!
 ……そんなに焦らなくても、ホラ」

 里美は俺の手の平を自分の胸に乗せる。凄く柔らかい。

「今日はブラ着けてないの……」

 そう言ってはにかんだ里美に、あえなく俺のタガは外れた。

「ガルルルゥウッ!」


───────


「……ぁ、はぁ。…………。
 ワイルドな淳も素敵だった」

 今日のテーマは『野獣』だ。

「色んな俺を見せておかないとな」

「アタシね、淳に抱かれてると『このまま死んでもいい』って思っちゃうの。
 もう淳が一番! 淳最高っ!」

  ヴィーィン ヴィーィン ヴィーィン

 俺の携帯が鳴っている。

 どうしよう、気付かないフリをするか……。しかし三浦が窮地に立たされ、一刻を争う状況だったら……。

「ね。アタシは充分可愛がって貰ったから満足よ? 電話、出たら?」

「ああ解った。
 ……はいもしもし。
 ……すいません、携帯が見当たらなくて。
 ……ええ、どうぞ」

 電話はやはり根岸からだったが、急を要する話ではなさそうだ。


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