ロ包 ロ孝
 結局、機動隊が到着したのは全てが終わった後だった。

現場になだれ込んで行った機動隊員数名が慌てふためいて戻って来る迄、数分を要した。恐らく俺と同じように、しばし現実と乖離されていたのだろう。

機動隊のバスに装備されている担架では足らずに、手足をかかえられて次々と運び出される賊共。

数は少ないながら意識が有り、歩く事が出来る彼らも、同僚やさっき迄は敵だった者達が累々と横たわるのを尻目に、呆然と空(クウ)を見るばかりだった。

「坂本さん達がどんどん凄くなっていくと、我々警察はやる事がなくなりますな」

 怪我人搬送の指示を出し終えて、古内警部補がやってきた。

「そんな事は有りませんよ。それに今回は全て三浦のチームがやった事ですし」

「またまたぁ……」

 パイプを吹かして目配せする古内警部補はまだ『新派』の力を認識していないようだ。

「いえ、本当ですよ。本件の結果報告も三浦か関から聞いて下さい。
 我々が着いた時には既に終わった後でしたから」

 目を丸くしている古内警部補を三浦達が居る方へ促すと、俺達は音力へと足を向けた。


∴◇∴◇∴◇∴


「ああ、オペレーション遂行ご苦労様です。しかし運がいいですね、坂本さん。昨日でも明日でも根岸は居ませんでしたよ。今日も夕方から予定が入ってまして、丁度今なら溜まった書類に目を通している頃だと思います。目を通してナニをするのかと言えば、ただやたらと大きい判子をバンバン押すだけなんですけどね! 近頃は関係各省庁との申し送りだのなんだのと言いまして、やれ今夜は経済産業省のお偉方と懐石だ。やれ明晩は外務省の役人と軍鶏(シャモ)鍋だと羨ましい限りの食生活で……」


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