ロ包 ロ孝
「お前な。オペレーションは遊びじゃないんだぞ?
 そんな浮わついた気持ちで臨んだら、また腰抜かして逃げ出すのがオチだ」

「そ、それは言いっこ無しっすよぉ……」

 パチンコ店での一件を持ち出すと、栗原は所在なさげに俯いた。

しかしそうは言ったものの、実はこの時俺も『新派』の奴らの鼻っ柱をぶち折ってやりたいと思っていた。三浦は解ってくれているから良いとしても、関やその他の人間は只、先入観で俺達を嫌っているだけではないか!

「里美はどう思う?」

 俺を見つめていた彼女に聞いてみる。

「そうね。言われっ放しじゃムカつくわね。でもホントは淳こそ一泡吹かせてやりたいんでしょ。目が怒ってるもの、フフフ」

 また見抜かれてた!

「ん。よ、よおし。じゃあ根岸さんに掛け合ってみるか」

 チーム単独のオペレーションなら裏法が外に漏れ出す恐れも無いから、そういう案件を探して貰えばいい。俺は早速音力へ電話を掛けた。

今は差し当たって大きなヤマが無いとの事だったが、明日全警察に当たってみるそうだ。

「淳。なんか考え事してたみたいだけど、何か有った?」

「そうか? 里美の気の所為だろ」

「それならいいけど……」

 俺は根岸に案件の手配を頼み込む事で、自分が何を考えていたのかをすっかり忘れていた。


∴◇∴◇∴◇∴


『坂本さん有りましたありました。
 大規模な抵抗が予想される案件なので、所轄も頭を悩ませていたらしいのです。しかし……随分と難案件ですが、大丈夫ですか?』

 半月後、忘れた頃になって根岸から連絡が入った。根気よく方々へ声を掛けてくれていたらしい。

「無理言ってすいませんでした。こちらからお願いしたんですから、勿論全力で頑張らせて貰いますよ」


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