ロ包 ロ孝
  ヴィーィン ヴィーィン

 ……ん? 電話か?

携帯が震えている。俺は寝惚けまなこで手に取ると、何とか答えを返した。

「う……ああ、もしもし」

『ああ、すいません。まだお休みでしたか? 僕です、北田です』

「いえいえ、もうそろそろ起きようと思っていた所ですよ、北さん。ファワフ」

 あくびを噛み殺しながら辺りを伺うと、2人はまだぐっすりと眠っていた。栗原に至ってはガーガーと高いびき迄かいている。

『ああ、ちょっと重要な情報が入りまして……』

 あと少しで夕食の時間になる。2人を起こさないと。

「それはどんな情報ですか?」

 しかし里美の寝相がこんなに悪いとは知らなかった。頭と足が逆さになって腰に枕を当てている。

『ああ、当局に依ればこちらに居る賊が不穏な動きをしているそうです。ああ、これは賊達を張り込み捜査している刑事から報告が有ったんですけど……。現在賊は食料品や衣類等を大量に買い込み、夜にも車の出入りが激しくて何かを運び入れている様子なんです』

 布団を頭に被り、浴衣の裾ははだけてパンツ丸出し。栗原が居なかったら悪戯している所だ。

『恐らく一両日中にはそちらに向かうと思われます。賊の集結した時が絶好の機会ですので、連絡させて貰ったのですが……』

「お手数お掛けしました。丁度我々も明晩突入を決行しようと思っていた所です。
 ホラッ、起きろ!里美」

 その白くてモチモチした太ももを叩きながら声を掛ける。

『ああ、では、その方向でお願いします……それで……』

「解りました。それでは」

 北田の言葉を遮るように挨拶をし、電話を切った。起き抜けにヤツの長話を聞くのはキツイ。


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