ロ包 ロ孝
 しかしこうしちゃいられない。坂本さん達も俺を助け出す為に、危険を犯してでも突入してくる筈だ。俺は俺でなんとかしないと……。


∴◇∴◇∴◇∴


「でもな、賊は金銭目的の誘拐犯とは違う。
 奴らは奴らなりの思想で、日本をいい国にしようと思ってやっているんだ」

「でも、やり方は間違ってるわ? 武力で政治を動かそうなんて!」

「確かにな。でも、だからこそ、無為に栗原の命を奪ったりはしないと思うんだ」

 俺は過去に、故有って極左思想を持った男と話した事が有る。彼は頭のいい、とても筋の通った話し方をする紳士だった。

押し並べて皆がそうとは限らないが、少なくともマルクスやレーニン、エンゲルスなどを読破し、それに共感出来るだけの頭脳を持ち合わせた連中だ。

正体不明で、しかも最新鋭の装備を携行している栗原を、考え無しに殺す事はまず有り得ない。と、俺はそう確信していた。

「賊は宴会場に集合しているから、正面玄関から入った方が早い。再突入するぞ?」

 こうしていても埒が明かない、俺達は栗原救出を敢行する。

「多分栗原も状況を見て【前】(ゼン)を放つ筈だ。
 その騒乱に紛れて賊を一網打尽にする為に、俺達は宴会場の裏で待ち構えよう」

「はい、解ったわ」

 そして事が終われば機動隊に出動要請をしなければならない。根岸に途中経過の連絡を入れておく。

『……そうですか、それは困りました。この時間では正式な殺傷制限解除の許諾申請は出来ないのですが、事後承諾でなんとかしますので、坂本さん達の安全を最優先で行動して下さい。
 機動隊の件と武器回収の件は了解いたしました。早速手配いたします。ご武運をお祈りしています』


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