ロ包 ロ孝
「宜しくお願いします。お言葉ですが運じゃなく、実力で勝ち取って来ますよ!」

 俺達の安全を最優先にするのは当然だ。元々これも『新派』への対抗意識から受けただけの案件に過ぎない。こんな所で躓いている場合ではないのだ。

 栗原は必ず俺達の手で救い出す。

「里美、この雨の中で術がどんな影響を受けるのか、試しておく必要が有ると思うんだ」

「え? 雨が降ってたらマズイの?」

「術の根本は音波だし、この雨音も音波だ。波と波が干渉を起こして、効力を無くしてしまう可能性も有る。
 逆に共振に依って、予想外の悪い効果が出てしまうかも知れない。
 俺が術を放ってみるから、里美はホテルの方に離れてその様子を見ていてくれ」

 万が一の事を考え、俺は里美を遠避けて術を放つ事にした。

「解った。でも無理はしないでね?」

「ああ大丈夫だ。時間を節約したいからテストも兼ねて【者】(シャ)を使って移動してくれるか?」

「準備が出来たら向こうから【闘】(トウ)で知らせればいいのネ?」

「頼む」

 ヘルメットを雨が叩く。ポリカーボネイト製のバトルスーツは完全な防水構造だが、冷たい雨はジワジワと体温を奪っていく。

「冷えてきたな、急ごう」

「じゃ、行くわね? フゥゥゥウウ」

  タタタタタッ

 里美は【者】を使って走り出した。さして問題は無いようだ。

『淳。今ホテルに程近い所迄来たわよ? 普通に走れたけど、淳から見てどうだった?』

 里美から放たれた【闘】が到達した。

「ああ、見た目も何ら問題ない。【闘】も雑音が入るが、聞き取れない程じゃない」

『良かった。次は攻撃系の術ね』

「打撃と切断か。じゃあ【皆】と【陣】を放ってみる。
 ダッ! ……シュッ!」


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