ロ包 ロ孝
「ひぃぃっ! こ、こ、こいつです。こいつの口から化け物が!」

 そう言う男の震える手には、銃が握られている。

「何するんだ、よせ! 撃つんじゃない!」

「ひぇっ、ひぇぇええ」

 仲間の制止も聞かず、男は引き金に指を掛けた。

「やばい、撃たれる! ヮァァァアアッ!」

 栗原は急いで【列】を張り、目をつぶって待ち構える。と、その時。最後に残った龍が水しぶきと共に飛び込んで来た。

  ガゥォォオオオンッ!

  パン! バスッ!

 龍が消えるのと同時に銃弾が【列】に突き刺さった。

「な……なんなんだ……今のは……」


∴◇∴◇∴◇∴


「捕り逃した! 里美っ突入だ!」

「はい! ダッ!」

 里美は足元を【皆】で壊し【北斗】でフワリと宴会場へ降り立つ。

「里美さぁぁん!」

「うわっ! 今度は仲間が来たぞ、気を付けろ!」

 賊共は俄(ニワカ)に色めき立った。

「さぁ。派手に行くわよぉっ? ダッダッダダダダダッ!」

 右手の『見せ銃』を構え、目にも止まらぬ速さで【皆】を放つ。賊は端から薙ぎ倒され、呻きながら床に転がっていった。

「銃だ、銃を持って来い!」

「そうはさせないよん。ムゥゥウン」

 栗原の【白虎】(ビャッコ)が賊の力を奪う。彼らはへなへなと倒れ込んで動かない。

「2人とも大丈夫か? ヮァァァァア」

 俺も里美の後を追い【北斗】で宴会場に降り立った。

「また仲間が来た。同志達はまだか!」

「来ました!」

 鉄パイプを手に、ヘルメットを被ってタオルで顔を隠した賊が十数人、ドヤドヤと宴会場に傾れ込んできた。

「こいつらが侵入者か! 叩きのめせ!」

「巨悪粉砕!」

「オウッ!」


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