ロ包 ロ孝
 賊共は何かに操られでもしているかのように、手にした鉄パイプを振りかぶり次々と襲い掛かって来る。

「ダッ!」「ぐぇっ」

「ダッ ダッ!」「うあっ」

 栗原と里美は、1人1人に【皆】を放ち、個別に攻撃している。

「はぁっ、はぁっ。きりがないわっ。ちょっと淳! ニヤニヤしてないで手伝いなさいよ!」

 ヘルメットの外からでも解る程、髪を振り乱しながら大声で叫んでいる。

 やれやれ。里美を本気で怒らせる前に何とかするか。

俺は重い腰を上げた。

「解ったよ。ン……シュッ」

「うわぁぁっ!」

 賊共は一斉にもんどり打って倒れた。俺は床スレスレに横長の【南斗】を放ったのだ。発電機をも破壊する強大な力で足を払われたら、生身の人間が立っていられる筈もない。

「パッ、パッ、……パッ」「ぐゎっ げほっ ……ごふっ!」

 そして倒れている賊のみぞおちに【皆弱】を決めて回る。後から来た賊の援軍も一挙に叩きのめした。

「効率って物を考えなきゃな」

「……や、やるわね」

 得意げに胸を張る俺に、里美はバツが悪そうに漏らす。

「そろそろかな」

 戦況を判断し、根岸に機動隊の突入を要請した。

『解りました。すぐに指示します』

「機動隊だと? お前らは一体……」

「我々は、総理大臣直轄の犯罪対策特別チーム『アンタッチャブル』だ!」

 栗原が声高に言った。


───────


 機動隊が一斉に廃ホテルへ突入し、次々と賊が確保される。

「まだ潜伏中の賊が周りに居るかも知れません。捜索をお願いします」

「あのぉ〜……」

「どうした、栗原」

「俺の縄はいつ解いてくれるんすか?」

「あっ、忘れてたよ」


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