夏の終わりに
「夏の終わりまで、
きみが好きだったのに」
と彼は言った。
「残念だな」

クミの胸がチクリと痛んだ。
プライドも。

「私もよ」

だが、
体中の血が流れだしていくような気がしているのだ。


「まだ捨てないでくれと泣きつく女の方が、
今のきみのやり方よりは可愛らしいよ。
それに多分、ずっと効果的だったろうな」

「そうね。
でもいずれにしろ、その時機は失ったわ」

クミの声に初めて哀しみが滲んだ。
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