黒いペンキが零れた後は
ラジオから流れるお姉さんの美声が、午後10時を告げたのと同時に、

「もう寝る時間よ!早く寝なさい!」

お母さんが、ぼくに就寝を促した。

「おやすみなさーい」

お母さんとお父さんにそう言って、ぼくは自分の部屋に向かった。


ベッドに入ると、つま先が氷のように冷え冷えした。
そうか、今は冬だった。
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