黒いペンキが零れた後は
「惜しいけど、ハズレ」

「じゃあ、誰なの?」

ぼくの問いに、

「秘密」

と、イタズラっぽい答えが返ってきた。

「まぁ、『ティオ』って呼んでくれ」

そう言って、ティオは、ニシシッと笑った。

「でも、いいのか?」

突然、ティオが真剣になる。

「何が?」

「世界が、真っ黒じゃなくなっても」

何が言いたいんだろう?

「どういうこと?」

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