『縛』
そして、その前は、

その恋人・・
フランソワが
事故でなくなった時
・・・だった。


俺達は、
日本のアメリカンスクールで
出会った。

フランソワは、
地味で目立たない少女だった。

真面目で、
おっとりしてて・・・
優しくて・・

いわば、ヒナコみたいな
女の子だった。


当時から、俺は、まともに
学校なんて行ってなくて、
現ドラマーの山本と、
音楽ばっかやっていた。

日本人離れしたルックス
はっきりした性格、
理由は・・色々あったけど、

とにかく、
良い噂なんてものは、
何一つ、俺に関しては、
存在しなかった。

歳を重ねれば、
誰もがするような
経験だけど・・。

思春期には、
性格形成に影響しがちな
世間の酷評。

フランソワは、
そんな世間の評価から、
守ってくれていた・・・
らしい。

それすらも、
しらなかった。

事故で、その存在が・・・
消えてしまうまで。


毎日、悲しみや後悔から
現実逃避するために、
ここへ通い詰める俺に、
その事実をつげにきたのは、

従兄弟の美穂だった。

 
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