愛は要らない
もしそうなら、今綾野が悩む必要はないかもしれない
「忘れてるのね、きっと。なら、私も忘れよう」
うんうん、と頷いて、綾野は悩むのをやめた
1週間、遥はあまり家には帰らず、外泊をしていた
その理由がなんなのか、綾野は知らないが、正直夜に顔を会わさずにいるのは助かった
どんな顔をすればいいのか、分からなかったから
(忘れることにしたけど、やっぱりすぐに頭から出ないわ・・・)
寝室で、綾野は読んでいた本を閉じる