愛は要らない


「寝よう・・・」


このまま起きていても、忘れようとして、逆に気になってしまう


─────ガチャ


寝室のドアが開いて、綾野が動きを止める


「あれ?もう寝るの?早いね」


優しい笑顔を浮かべた遥が、綾野に声をかける


「お、お帰りなさい・・・」


急な帰宅に、綾野は動揺を隠せない


「ただいま」


にっこり笑う遥は、いつもと何も変わらない


(やっぱり、忘れてる・・・?かなり、飲んでたものね)


安堵して、綾野は今度こそ忘れよう、と心の中で呟いた


< 167 / 331 >

この作品をシェア

pagetop