愛は要らない


「なっ!」

「いい匂いが、するね・・・」


耳元で、遥の声が聞こえる

真っ赤になって、綾野は声にならない叫びを、飲み込んだ


「寝るまで、こうしててもいいかな・・・?」


優しく抱きしめられて、いつしか頬の赤みも引いていた


「・・・・・・変なこと、しないなら」

「気をつけるよ」


笑って、遥は改めて綾野を抱きしめた


(あ・・・。心臓の音・・・)


背中から感じるのは、温かな体温と、トクン・・・、トクン・・・という心臓の音


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