紫陽花
文化祭
 
葵との口論から二日後。
俺の隣には"ヒロイン"の葵が立っていた。


「はーい。じゃあ次は二人で理科室に入るシーンね!」


『何でこんなやつと…』

そう愚痴をぶつぶつ呟いていたけどいい加減に観念して役を演じてた。

今日は前田も東もいなく休憩時間が
暇だから資材倉庫の裏で一服をしてた。


「中学生はたばこ吸っちゃいけないんだよー」


…また奴かと上を向いたら葵が居た。


「うっせーなー」


「ねえねえ好きな人いる?」


あまりに唐突過ぎる言葉に俺はむせた。


「いねーけど、それがどうかしたのか?」


「んー別になんとなく気になっただけ。」


「そういうお前はいんのかよ?」


「へへー内緒♪」


「そっか。」


「もう少し『誰だよ?』とかゆってよー」


「別に興味ねーし。そろそろ戻るぞ。」


えーっと言っている葵を尻目に俺は理科室に戻った。
 
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