逢瀬を重ね、君を愛す


視線を感じて隣を見る。
ニコニコ微笑む桜乃が目に入る。


恥ずかしさで、話題を変えようと、聞きたかった事を聞いてみた。


「そ、そういえばっ!!蛍さんと桜乃って幼なじみなんだ…よ…ね…?」


言葉をつむぐ度に、桜乃の顔がひきつっていく。


「……さ……桜乃?」


何か不味いことを言ったのか。
不安になって名前を呼ぶと、ガシッと肩を捕まれた。


「彩音…………誰に聞いたの?」


笑顔だが、背景が黒くみえるのは気のせいか。


「え……か…薫に……」

「帝かぁ!!!」


くわっと叫んだ桜乃に驚く。


――桜乃でも叫ぶんだ。


そう感想を思う彩音は桜乃へ投げ掛ける。


「幼なじみだってバレたら嫌なの?」


その言葉に、桜乃は落ち着き、正座する。

そしてポツリポツリ語りだした。
< 62 / 159 >

この作品をシェア

pagetop