秘密の生徒会探偵団☆
ポンッと頭に重みがかかる。
「さんきゅな。
まだちょっと痛むけど、大したことねーよ。」
そう言ってニカッと笑う。
大したことないわけないじゃん。
そう言いたいのにうまく言葉にできない。
「……ならよかった。」
「ん。」
言うつもりのない言葉に似つかわしい短い返事。
そして電車はゆっくりとスピードを落とす。
不意に陵はあたしの前に立つ。
ドアが開いて、たくさんの人が流れ込んでくるのが見えた。
こりゃ、想像以上に混みそうだ。
そう覚悟したあたしとは裏腹に、電車はドアを閉めて再び走りだす。
あれ?
かなりの人数が車両に入ったはずなのに、息苦しさを感じなかった。
不意に顔をあげる。
「何?」
そこには変わらず陵がいた。
そういうことか……。
あたしの後ろでは景色がとめどなく流れていく。
陵は自分があたしの前にたって、満員電車の息苦しさをなくしてくれてたんだ。
ドアに寄りかかるあたしは、安心感に包まれた。